雨の串柿の里 [紀見峠-蔵王峠-堀越-大久保-鍋谷峠]
恒例にしている串柿ツーリングだが、昨年はコロナ禍と鍋谷峠の通行止めで断念した。今年も11月にイベントや仕事が続いたため準備が不充分で、参加者募集は見送り、少人数の身内だけで本日開催することになった。
まずはTORACLE-COZ(CARACLE-COZ DB)で6:33出走し、集合地まで自走。昨日は本格的な雨となり、寒冷前線通過後は一気に冷え込んだ。大阪の平地ですら最低気温がひと桁になる予報にウェアは厳冬期装備。天野街道を走っていると、朝日が雲の間から顔を出して美しい。やや雲は多いのが気がかりだが、降水確率は10%だった。
集合時間の8時まで余裕があったので途中からペースダウンしたが、それでも7:40には集合地の道の駅奥河内くろまろの郷に到着。時間つぶし時に、今さらながら名前の由来となった高向玄理(たかむこのくろまろ)公顕彰碑の説明を読む。遣隋使として中国に赴き、帰国後は国博士に任じられて大化の改新後の政権のブレーンとして活躍したとのこと。
8時過ぎに写真を取って出走。今日は先日の信貴山サイクルロゲイニングを一緒に走ったチームCARACLEメンバー3人と、業界の大先輩H本さんが参加してくれた。
昨日しっかりと雨が降ったのでドロドロになっていることが確実な蔵王峠の大阪側を上るのは諦め、まずは紀見峠を目指す。山麓の新興住宅街と古い集落を繋いでジグザグと進んでいく。気心知れたメンバーなので、初めてのルートを近道したら、ダートのあぜ道で家の庭みたいなところを通過することになった。お騒がせしてゴメンナサイ。
この細道は元々は行き止まりの道だったが、南河内グリーンロードを延長する新道ができたお陰でショートカットルートになった。まだ中途半端な開通だし、アップダウンはあるが、国道170号線を経て国道371号線に入るよりは義務走り感が少ない。
国道371号線のバイパスと合流すると交通量が多くて走りづらいが、旧道に入るまでの辛抱。旧道をワイワイと話しながら一団で上り、8:55頃に紀見峠着。今回は信貴山サイクルロゲイニングと同じ4台のCARACLE-COZにH本さんの700CロードCUBE1台。
和歌山側は、林間田園都市駅前を通る国道371号線バイパスを下って行く。以前H本さんたちと辿った山腹をアップダウンして蔵王峠に向かうルートも考えていたが、これも路面が濡れていそうな山中の細道区間があるので回避した方が良いとH本さんとも同意。一旦大和川沿いまで下ることにしたが、H本さんの提案で少しショートカット。御幸辻駅を過ぎたところで西進し、さつき台の住宅街を上る。広域農道を少し走って西に横滑りし、紀伊山田駅付近に下った。昔はコンビニも無く、この辺りの自販機で飲料を飲んでから紀見峠を越えたとのH本さんの昔話。今は色々と恵まれている。
紀の川沿いの平地に降りて、国道24号線に出てコンビニで小休止。山中に入ると買い出しポイントは無いので、携行食や昼食を買い込む。日なたはまだマシだが、少し陽が陰ると外で少し止まっているだけでも寒い。
6kmほど国道を西進したが、弱い向かい風であまり速度は上がらなかった。中飯降駅を過ぎたところで国道を離れ、再び和泉山脈に向かって、県道61号線を北上する。
山が近づくと次第に傾斜が増してくる。ん、ライアンどうした? チェーンが外れた?
いよいよ山中に入り、グイグイと高度を上げていく。県道(府道)61号線の和歌山側の傾斜はそれなりに厳しいが、大阪側よりは遥かに路面状態が良く、上りやすい。上りが嫌いというメンバーも脚力が一定以上の水準なので、話しながらほぼ一団で上っていける。
峠までの最後の集落、短野には北辰妙見神社を経て国道480号線方面に下っていく分岐があるが、我々はそのまま県道61号線を上り続ける。
この短野集落で吊るし柿を発見。これは串に通さず縦一列に吊るされており、正月飾りの「串柿」ではない。食用のものと思われ、柿の形も平べったく大型で、串柿用とは別種のもの。
短野集落を見下ろすところまで上ると、一気に展望が開けるとっておきのポイントがある。半島状に突き出した地形で、道のすぐ向こうが崖になっていて下は樹高の低い果樹園。視界を遮る木々がなく、270度くらいは視界が広がる。鬱蒼とした森が続く大阪側から下って来た時にも感動するが、和歌山側から上ってきたご褒美として見ても感動モノだ。
さらにひと上りして、11:13蔵王峠到着。ここまで約56km走ったが、大阪側から上っていれば15km足らずなので、4倍近い距離。雨上がりのドロドロ道を避けるためとは言え、随分遠回りした。もう上りは充分というメンバーもいるが、まだオードブル(紀見峠)と魚料理(蔵王峠)が済んだくらい。これから肉料理が待っている(笑)。
県道(府道)61号線を走れば蔵王峠はピークだが、我々にとっては上りの途中。一旦大阪府に戻り、石川の源流に沿って上る道は落ち葉が積もって秋の風情。上りとは言え、立ちこぎすると後輪が滑りやすい。
この切り通しでようやくピーク。大和川と紀の川の分水嶺を越えて、再び和歌山県に入る。
ピークを超えるとすぐに堀越の集落。堀越(癪)観音には崖際まで下がってもファインダーに入り切らない銀杏の大木がある。2週間前に訪れた際にはまだ緑色だったが、今日は黄色く色付いた葉がハラハラと舞い落ちている。
O川さんのマネをして、降り積もった落ち葉の上にTORACLE-COZ2を寝かせてみた。一部保護色(笑)。
ここまで苦労して上ってきたが、ここから急坂を一気に下っていく。品質が下がるので、雨に当たる心配があると串柿は取り込んでしまう。昨晩まで雨で、今日も山中はどうも雲行きが怪しいので心配していたが、下る途中で串柿に出会えた。
正月飾りに用いられる串柿は冷たく乾いた風が吹き下ろし、山霧が立ち込めるかつらぎ町の四郷地区の気候が適しており、豊臣秀吉が献上された当地の干し柿を食べて病が治ったことから、推奨したとも言われている。多くは一串に10個刺してあり、2個6個2個と間を開けてあるのは「夫婦ニコニコ(2個2個)仲睦(6つ)まじく」という語呂合わせだ。今回は一串に5個刺したものが吊るされていたが、こちらは「一人(1個)一人(1個)が皆(3個)幸せに」という意味。
串柿用の柿は、吊るし柿(食用干し柿)と比べて小型で細い形状の「四ツ溝」が用いられる事が多いとのこと。食用の干し柿(吊るし柿)と同じ製法で作られるが、一応は「飾り物」だ。一般で販売されている商品には、包装に食用でない旨が記載してある。食用として保証されたものではないし、現代の暖かい室内では傷みやすいかもしれないので他人には勧めないが、私個人は口にすることに躊躇いはない。
空いた吊るし棚が目立つのが残念。大雨の昨日は取り込んでいたと思われるので、今朝吊るし直したのだと思われる。怪しげな黒雲が流れていたりするので、少量だけ吊るしたのかもしれない。
引き続き中畑谷川沿いの急坂を下っていき、穴伏川と合流する東谷付近の橋を渡る。路面状態の悪いつづら折りに、ライアンはブレーキをかける手が疲れたとのこと。
ここからがメインディッシュの肉料理? いきなりコンクリート舗装の急坂が立ちはだかる。これでも大久保の集落に至るメインルートなのだ。「先に行っていいぞ」言ったら、ライアンはこの壁坂をグイグイと上っていく。これだけの傾斜となると、考え無しに踏み込んでも前輪が浮くか後輪が空回りする。単純に脚力だけでなく、傾斜に応じて前後の荷重のバランスと踏み込む力を調整する必要がある。普段と違う筋肉を使うので、慣れていないと多くの場合すぐに力尽きる。ところが、ライアンは脚を止めること無くスイスイと直登していく。これまでに経験があるのか、天性の感なのかはわからないが、若さだけではないようだ。
H本さんは昔から近辺を走り回っているので、淡々と上り始めた。急坂でも無理のない安定したフォームはさすがだ。
自転車経験は長いとは言え、規格外の急坂にI井さんとO川さんは「え~、ホントですか?」と悲鳴を上げていた。まさかこれほどとは思っていなかったとのことで、戸惑いつつ後方からスタート。
すぐにペースダウンすると思ってライアンを先行させたが、スイスイ上っていくのを見て、この先の分岐を行きすぎないか心配になってきた。慌ててペースを上げて背中を追ったが、ライアンのペースはさっぱり下がらない。それどころか、私に気付いてペースを上げる始末で、なかなか追いつけない。激坂区間が終わりにあるくるみ谷もみじ公園にライアンが到着するのが見えたので、後方から「ライア~ン、ストップ!」と叫んだ。案の定、分岐を反対の神野方面に向かいかけていたライアンが、ようやく脚を止めた。
「キツい」と言いながらも、「CARACLE軽い(ので楽だった)」と笑顔。普段はもっとホイールの重い未発売試作車に乗っているが、今日は6.9kgのCARACLE-COZを借りてきているので上りが楽しくて仕方ないようだ。まだまだ余裕な様子で、ライアン恐るべし。紅葉(もみじ)の紅葉(こうよう)を盛んに撮影して、ナレーションを入れながら動画を自撮りしていた。母国の家族や友人に送るのだろう。
H本さんは最後まで淡々とゴール。I井さんは「腰が痛い」と苦笑いしながらゴール。O川さんは一部押しが入ったようだが、終盤は乗車してゴール。
やや盛りを過ぎているが、充分に美しい紅葉を眺めていると、雨がポツポツ落ちてきた。降水確率は10%だったし、つい先ほどまで晴れ間もあったので油断していた。ひとまず先を急ぐ。
もみじ公園からは傾斜が緩み、すぐに大久保集落。串柿が最も多い見どころなのだが、雨で取り込まれているものも多く、残念ながら吊るされている串柿はかなり少ない。
だんだん雨の強くなる中、集落の中心部でちょっとだけ脚を止めて見物したが、慌ただしく先に進む。
元々、昼食場所と考えていた定福寺の軒下に飛び込んだ12:30ごろには、すっかり本降りとなった。昼食を摂りながらしばしの雨宿りとなったが、屋根の下とは言え屋外だし、風もあるので雨に濡れた身体が冷える。しかも、どうやらみぞれ気味になってきたようで、トタン屋根にバタバラと音が響いた。凍えながらの小一時間待機となったが、参加者を募集して初心者を連れていたら深刻な事態になりかねなかった。(若いライアンを除けば)経験豊富な身内だけで開催して正解だった。
約50分雨宿りして、ようやく雨は上がった。屋根の下に残ったものは少ないが、下界を見下ろす串柿に薄日が射してきた。
同じく雨宿りをしていたアマチュアカメラマンの一行と話をしていたが、雨上がりの濡れた地面が日差しを反射して輝く様子に、飛び出していった。走る準備を始めた私達や自転車も被写体になり、「自転車は主な部品が付いた右側が表(顔)なんですよ」「本気で撮影するときは、クランクやタイヤバルブの位置にも気を使うんです」なんて自転車+写真談義。
カメラマンの皆さんに見送られて再出走。大久保集落にアクセスする車道のもう一本を上っていくのだが、こちらもコンクリート舗装の激坂を上る難路で、先ほどの雨で濡れて滑りやすい上に、ところどころ排水用の溝が道路を横切っているので油断ができない。なかなかボリュームのあるデザート(メインディッシュ3本目?)だ。
昼でも暗い鬱蒼とした森の中なので、気分的にも気が滅入りやすいルートだが、私とH本さんは自転車との馴れ初め話で盛り上がった。ヨンキュッパ(49,800円の入門用スポーツ車)時代は私が宮田のカリフォルニアロードでH本さんはブリヂストンのロードマン、 ランドナーは私はブリヂストンのユーラシアでH本さんは安いフレームを買って自分でパーツを組み付けたことなど、古き良き十代の思い出に浸って、上り坂の辛さをすっかり忘れていた。
ふと我に返って後方の3人を見ると、ライアンはともかくI井さんとO川さんはかなり苦しそう。滑りやすいロード用クリートなので、濡れた路面だと押すことも難しく、先の見えないルートに不安も感じていただろう。主催者は走り慣れているので、緊張感がなくて申し訳ありません。
ようやくのことで三国山に上るルートと合流。ここが本日の最高標高地点だ。ここからは、下り基調で鍋谷峠に向かう。
14時ちょうどに鍋谷峠に到着。一日で最も気温の高い時間帯のはずだが、明らかに朝より寒く峠の温度計は3度の表示。完全に真冬の気温で、みぞれが降るのも道理だ。ここまでくればホームコースなのでホッとしたが、濡れた路面に落ち葉が散乱しているのでメンバーにも重々警告して、慎重に大阪側に下リ始めた。
下りは冬装備でもかなり寒かった。ひとまず父鬼の八坂神社に立ち寄ったが、暖まりたいので国道170号線バイパス沿いのコンビニまで進んだ。
平野に降りると雨の跡もなく、かなり気温も上がったが、店内で温かい飲み物を飲むとホッとする。一服したところで、これからの行動を相談。全員自走で集合地点に来たのでくろまろの郷に戻る必要はない。河内長野駅付近まで走って解散することにした。
自転車は濡れ落ち葉ですっかり汚れてしまった。帰ったら少し掃除しないと家に持ち込めない。
国道170号線旧道を進み、バイパスと合流して国道310号線と交差する原町北交差点で解散とした。チームCARACLEの3人とはここで別れ、私とH本さんは国道310号線を北上して堺に戻る。福田でH本さんとも別れ、帰宅したのは16:08だった。今日のメンバーならもう少し早く帰ってこられると思っていたが、雨でかなり遅れた。初参加の3人に、良い天気のタイミングで集落中に吊るされた串柿を見せて上げられなかったのは残念だった。他にも過酷な面白いルートはあるし、また来年も再挑戦して欲しいものだ。
後半の天気は残念だったが、今日も100km超ライドとなった。先月のブルベ以来長距離を走る機会が続いて、引っ越しやコロナで低下していた脚力もかなり回復してきたように思う。「今のうち」かもしれないので、走れるときに走る機会を設けていきたい。
■STRAVA
雨の串柿の里 [紀見峠-蔵王峠-堀越-大久保-鍋谷峠] | ライド | Strava
■Ride with GPS
雨の串柿の里 [紀見峠-蔵王峠-堀越-大久保-鍋谷峠] – でのサイクリング 堺市, 近畿地方
■CyclemeterGPS
CyclemeterGPSの記録
スタート: 2021/11/23 6:33:55
自転車完了: 2021/11/23 16:08:58
バイクタイム: 5:31:40
停止時間: 4:03:01
距離: 103.88 km
平均スピード: 18.79 km/h
登り: 1800 m
カロリー: 3884 kcal
平均心拍数: 130 bpm
最大心拍数: 172 bpm
平均ペダルペース: 54 rpm
最高ペダルペース: 125 rpm
今月の走行距離: 743 km
今年の走行距離: 7980 km
先月の走行距離: 1028 km
昨年の走行距離: 9412 km
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