台湾自転車事情2010その1

【mixi日記 及び 旧ブログ から転載したものです】

 本年も同僚とともに台北國際自行車展(Taipei International Cycle Show、以下台北ショー)に、行ってきました。

 初日は例年とパターンを変えて、台北ショー会場に行かず、台北市近郊の観光地、「淡水」に向かいました。サイクリングロードがや公営レンタサイクルも整備された、台湾の自転車事情を調査しようとしたのです。決して、会社の経費で夕日の名所として有名な淡水の観光を楽しもうとしたわけではありません(?)。

 まず、高速バスで台北駅に向かいます。道ばたの水田は、すでに田植えが終わっていました。台北駅からはMRT(地下鉄)が淡水まで通じています。途中、荷物を台北駅のコインロッカーに預けましたが、入国したばかりでコインが少なく右往左往。淡水に向かうMRTは途中駅で折り返し、一駅逆戻りしたりとバタバタ。

100317_154822 ようやく、淡水にたどり着いたのはすでに16時過ぎ。まさにこれから夕日の見どころという時間帯ですが、残念ながら淡水駅を降り立った我々の前には厚い雲と、ぱらつく雨が出迎えました。

100317_155238 駅前には、スポーツ車も充実した自転車店が2軒もあり、レンタサイクルも行っていました。

100317_155052 実際にレンタサイクルを借りることを考えていたのですが、雨が強くなることも考えて断念しました。

100317_155408 海岸に向かう道を探しながら、観光客向けの商店が立ち並ぶ老街を少し歩いていると、天然素材のサドルカバーを発見。夏はとても涼しいとのこと(^^;。

 

100317_160808 海岸に出ると、サイクリングロードの一部でもある遊歩道があり、こちらもみやげ物屋や飲食店が立ち並んでいます。雨がぱらついていなければ、いい風景が広がっているのでしょうが、今回はもうひとつ。それでもかなりの観光客が歩いており、ときおり自転車も通っていきます。

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 さすがに休日の多摩川や淀川のように次から次に、という状況ではありませんが、雨の降る平日昼間にしては、結構多いと言えるでしょう。できれば、天気のいい週末の状況を見てみたいところです。

 低価格帯の自転車も多いのですが、日本で言えば5万円以上のしっかりしたクロスバイクやフォールディングバイクもかなりの比率。更には、ン十万はする本格的なロードバイクも時々通って行きました。ただ、自転車のブランドはジャイアントを筆頭にほとんど台湾ブランドで、欧米ブランドはごく少数でした。また、郊外ですので当然ですが、ピスト系車種は1台しか見かけませんでした。

 意外だったのは、半分以上の人がヘルメットを被り、サイクルウェアを身に着けていたこと。また、高齢者の姿が多く、彼らの方がその傾向が強かったことです。平日昼間ということで、現役をリタイヤした高齢者が多いのでしょうが、日本では60歳代以上の高齢者がカラフルなサイクルウェアを身に付けていることが少ないだけに、この点では日本以上の普及度を感じました。

 ウェアや自転車の仕様から察するに、多くの人はレンタルなどではなく、マイバイクでサイクリングを楽しんでいることが伺えました。

 昨年以前の報告でも述べましたが、自転車が基幹産業である台湾では官民挙げてサイクルスポーツの振興に努めています。台北市近郊のサイクリングロードや公営レンタサイクルの整備、MRT(地下鉄)への自転車持ち込み制度など、日本を越えるインフラ整備の存在を知ってはいましたが、実際にそれがどれだけ普及しているのかは、疑問もありました。

 ここ十数年で一般市民の交通手段の主流は、スクーターから自家用車に移行しつつあり、交通マナーもずいぶん向上しました。とはいえ、今でもスクーターと自動車が入り乱れて走る道路状況は、安心して自転車が街中を走行できるとはとても言えません。

100317_154940 そんなこともあってか、台北の街中でみかける自転車の姿は、日本や欧米に比べてまだまだ少ないのです。たまに街中に駐輪してある自転車を見ても、ボロボロのの低価格帯MTBがほとんどで、とてもスポーツとして自転車を楽しんでいる層が多いとは思えず、行政の意気込みほど自転車スポーツも普及していないのではないか、との思いもありました。

 今回、実際に多くの人にサイクルスポーツを楽しんでいる姿を見て、認識を新たにしたのですが、どうやら台湾における自転車は、「純粋」にスポーツやレクリエーションの手段として、それなりに普及しているようです。

 「純粋」と強調したのは、日本の婦人車(ママチャリ)のように通勤通学や買物の足として普及しているわけではなく、欧米や最近の日本のように健康的でファッショナブルな移動の手段として街中で用いられるケースも少ないということです。

 言い換えれば、日本のように婦人車(ママチャリ)が普及していなかったために、「自転車=スポーツの手段」という構図が定着しやすかったとも言えるでしょう。スポーツとして楽しむなら、危険で走りにくい街中よりもサイクリングロードや郊外に向かうのが当然ですし、ヘルメットやサイクルウェアが普及するのも理解できます。普段着で「スポーツ」をするのは、むしろ恥ずかしいことでしょう(テニスやスキー、ゴルフなどに置き換えてみれば理解できるでしょう)。

 一方で、自転車が文化として定着するほどの歴史的蓄積がないので、ピストやクラシック自転車といった楽しみ方が理解されにくいのではないかとも想像しています。ピスト車ブームは台湾でも起きているそうですが、台北市街地で実際に見かけることは、ほとんどありませんでした。

 余談ですが、河川沿いや郊外のサイクリングロードだけでなく、台北市中心部で「 You Bike 微笑単車」というレンタサイクルが始まっています。台北市と世界最大の自転車メーカーGIANT社が協力し、11のレンタルステーションに500台の自転車を備え、24時間365日、どのステーションからも借りたり返却したりできるというユニークなものです。日本でも、ここまで利便性を徹底したレンタサイクルは恐らくないでしょう。

 このシステムとどちらを見学するかも悩んだのですが、交通状況に慣れない日本人が、実際に借りて街中で走るのは難しいと判断しました(結局、淡水でも自転車には乗りませんでしたが・・・)。

[台湾自転車事情2010その2]に続く


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